Googleエンジニアの人事評価システムから透けて見える、将来のSEO
について考えたいと思います。
GoogleページランクはGoogle検索アルゴリズムの一つとして有名です。
ピアレビュー(peer review)という
Googleの人事評価で採用されているシステムがあります。
驚くことに、Googleのエンジニアの評価は、
ページランクと同じ、ピアレビューというシステムで評価をされているのです。
Googleのピアレビューとは?
Googleでの「ピアレビュー」は、
Googleの人事評価で採用されているシステムの名前をさしています。
ほかに、世界中の研究者の間でも「peer review」という用語が
「研究者の仲間や、同分野の専門家による評価や検証」のような意味で使われています。
Googleのルーツ
Googleはラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏が、
スタンフォード大学で出会って始まりました。
当時、研究者であったラリー氏とサーゲイ氏は、学術雑誌に論文を投稿した際、
掲載される前に一般的な「ピアレビュー」を受けていたはずです。
Googleの検索エンジンは、原始的には、
リンクを使用して個々のウェブページの重要性を判断するシステムでした。
研究者であった彼等が論文投稿時に経験していたシステムを、
Googleエンジニアの評価システムと、
Googleの検索アルゴリズムに組み込んだのです。
Googleが自分自身に適用している人事評価システムを分析し
検索アルゴリズムで採用しているGoogleページランクをもう一度見直し、
ペンギン/パンダアップデート後のSEOに役立てるのが今回のテーマです。
Googleは、ピアレビューを最も重視している?!
ピアレビューは、Googleの人事評価のシステムの一つなので、
簡単にいえば「同チームの同僚による評価」のことです。
Google人材人事担当ディレクターのジュディ・ギルバート氏によると、
ピアレビューが最も重視されています。
ギルバート氏によれば、
Googleでは「評価の高い同僚」からの評価ほど重視されます。
評価の高い、優秀な同僚から良いと評価されるほど、
そのエンジニアの評価も高くなるのです。
Googleは、SEOで話題になるGooglページランクと同じシステムを
人事評価のシステムにも採用しているのです!
もっとも、実際の人事評価では、
ピアレビューに加えて、本人による自己評価と、
上司による評価も加えた、三段階で評価されます。
上司は本人による自己診断とピアレビューを総合します。
その上でキャリブレーションというプロセスを経て最終的に評価を決定します。
キャリブレーションとは、上司が他の似た立場の上司と議論して、
お互いの評価に一貫性をもたせる作業のことです。
ピアレビューの結果は、本人にも通知されます。
この点もGoogleページランクと同じですね。
なぜGoogleはピアレビューを採用しているのか?
なぜピアレビューがGoogleの人事評価で採用されているかについて、
最も身近で働く同僚による評価が最も正確だからだと
Google人材人事担当ディレクターのギルバート氏は言っています。
この点、サイトのSEOについても同じことが言えます。
Googleが自分自身のエンジニア評価に適用しているルールやものの見方を
取扱対象であるウェブサイトの評価に適用していることは、ごく自然です。
Googleがウェブサイトを評価するアルゴリズム
Googleの最大の収益源は検索に連動する広告収入です。
Googleの屋台骨は、やはり検索品質にあるのです。
また、
Googleの成長はGoogleのエンジニアにかかっていることも考えれば、
Googleのウェブサイト評価システムと、
Googleエンジニアの評価システムが同じアルゴリズムを持つことは、
いわば当然と言えます。
SEOに影響を与えるGoogleページランクについて、
『身近で運営されるサイトによる評価』が、
最も正確だとGoogleは考えているのです。
そして、
ピアレビューが人事評価の1つの構成要素であるように、
Googleページランクも、SEOに影響を与えるサイト評価の一部なのです。
ピアレビューとSEOの関係性
ピアレビューでは、例えば以下の項目が評価で述べられます。
- 自分とそのエンジニアとの関係
- エンジニアの働きぶりや目標に対する成果
- 強みと伸ばすべき点
これをサイトの関係で考えると、
- そのサイトと自分のサイトのIP、ドメインの関係。
- そのサイトと自分のサイトとの取扱っている内容の関係。
- そのサイトをどのように紹介しているか。つまり、アンカーテキストの内容、文中からのリンクかリンク集からのリンクかなど。
ピアレビューから透けて見える将来のSEO
ここで、もう一段高い視点から全体を見てみます。
ピアレビューは、一般のSEOの、
『外的SEO(SEOの外部要因)』に相当します。
本人による評価は、一般のSEOの、
『内的SEO(SEOの内部要因)』に相当します。
そして、
上司による評価の結果が、一般のSEOの、
『Googleの検索結果』に相当します。
Googleは人事評価でいわゆる360度評価をしているように、
サイトの評価でも、360度評価をしているのです。
内部要因で過剰SEOとしてスパム判定を受ける例として、
過剰にキーワードを詰め込んだ場合がありますが、
これを例えるなら、内的SEOに相当する「本人による評価」の時に、
「自分は優秀です。自分は優秀です。自分は優秀です。自分は優秀です。・・・」
と繰り返し詰め込んで記載するのと同じことなのです。
これでは良い評価を得られるわけがありません(笑)。
また、外的SEOに相当するピアレビューですが、
先ほど登場したギルバート氏によれば、
Googleエンジニアは、ピアレビューを記載するときには、
その内容を十分に考えるように言われているそうです。
具体的には、ネガティブな記述ではなく、
より建設的な表現を使うように言われ、
何と、ピアレビューを記述する練習のためのコースや
オンラインツールまで用意されているそうです。
このことをみれば、
ピアレビューに相当する外的SEOにおいて、
単に高い評価のサイトからリンクを受ければ良いというわけではない
ということがわかります。
- どういう表現で評価を受けているのか、
- どういう文言と一緒に自分のサイトがリンクをされているのか、
が重要であることがわかります
だんだんと日本語も理解するようになってきたGoogleの検索アルゴリズムが、
近い将来、紹介文言その他の情報から
そのサイトが自分のサイトをどう評価しているのかという内容まで理解するようになれば、
いくらGoogleから高い評価を受けているサイトからリンクをもらっても、
全く良い評価に結びつかなくなる日もくるかもしれません。
ですので、
長きに渡って上位表示を狙うのであれば、
今後、高評価のサイトからリンクをもらえる時には、
無機質にただリンクをしてもらうのではなく、
この点も十分考慮してリンクを受ける必要があります。
また、Googleに届く年間何百万という履歴書をラリーペイジ氏が実際に目を
通していることから考えれば、
ウェブサイトについても、実際に高く評価をする時には、
Google社員の目視が入っていることは想像に難くありません。
そして、Googleエンジニアの採用の決定は、ほとんどラリー氏が下すそうです。
このことを考えれば、
ウェブサイトの評価でも、
実際に目視をしたGoogle社員に相当の決定権がある可能性も考えられます。
普段から、検索エンジンを相手にするのではなく
訪問者を相手にしたSEOをしていれば、
ここで多いに威力を発揮することになります。
また、Googleのビル・コフラン上級副社長によれば、
Googleエンジニアの評価は、肩書きではなく、
「同僚から受ける尊敬」に比例すると言います。
また、ビル氏はこうも言っています。
「Googleでは、尊敬を集めることが、
そのエンジニアの社内での発言力や影響力になる」
サイトのSEOにおいても、この「尊敬」を集めることこそ、
最強のWhite Hat SEOであると言えます。